続かないのは
意志ではない
食事管理が続かない理由は、我慢が足りないからではありません。毎食、計算し続ける設計になっているからです。
「塩分を控えて」「たんぱく質を減らして」と言われた。言われたことは分かるが、毎日どうすればいいのかが分からない。ここを埋めます。
どの数値に何が効くか
指摘されやすい3つと、関係する栄養素
①血糖値・HbA1c。主に糖質の量と、食べる順序・タイミングが関係します。
②腎機能(クレアチニン・eGFR・尿たんぱく)。病期によってたんぱく質・塩分・カリウム・リンの管理が指示されることがあります。
③血圧。主に塩分。体重も関係します。
重要なのは、これらが同時に指摘されることが多いという点です。糖尿病から腎臓の機能が落ちる経過もあり、その場合は複数の制限が重なります。
そして制限が重なるほど、家庭での調理は難しくなります。塩分だけなら工夫できても、塩分・たんぱく質・カリウムを同時に管理するのは、計算なしでは困難です。
ここを気合いで乗り切ろうとするのが、最初のつまずきです。
続かない構造
食事管理が3か月続かない典型的な経過:
1週目。やる気がある。成分表示を見て、量を計り、記録する。
2〜3週目。手間に気づく。買い物の時間が増え、献立を考える負担が出る。
1か月目。疲れた日、外食した日に崩れる。「一度崩れたから」で全体が緩む。
2〜3か月目。元に戻る。次の検査で数値が変わらず、落ち込む。
ここで分かるのは、問題は「知識」でも「意志」でもなく「工程の多さ」だということです。買い物 → 計算 → 調理 → 記録。この4工程を毎日続けるのは、健康な人でも難しい。
だから、対策は工程を減らすことになります。
続く形の作り方
工程を減らす3つの方法
①計算を外部化する。成分が管理された食事を使う。自分で計算する工程がなくなります。
②献立を固定する。毎日違うものを考えない。朝は完全に固定、昼は3パターン、夜だけ変える。考える工程が減ります。
③崩れる日を前提に組む。「作れない日」の受け皿を先に用意しておく。崩れないようにするのではなく、崩れても戻れるようにする。
①がもっとも効きます。制限食の宅配は、塩分やたんぱく質の量が設計された状態で届くため、毎食の計算が不要になります。
ただし「どの制限で、どの水準か」は主治医の指示に合わせる必要があります。製品によって設計されている基準が違うため、選ぶ前に指示内容を確認してください。
管理栄養士監修の制限食の内容を見る
制限の内容は個人により異なります。利用前に主治医・管理栄養士にご確認ください。
- 管理栄養士監修の製品があります
- 掲載内容は各社公式サイトの公表値です
- 制限の内容は主治医の指示に従ってください
最初の2週間
全部を一度に変えないでください。2週間で1つが現実的です。
1〜2週目:塩分だけに集中する。効果が実感しやすく、方法も分かりやすい。
・汁物を1日1杯までにする(汁を残すだけでも変わります)
・麺類の汁を飲まない
・卓上の調味料を減らす(かけるのをやめて、つけるに変える)
・加工食品・練り物・漬物の頻度を下げる
・だし、酸味、香辛料、香味野菜で味を補う
3〜4週目:食べる順序と時間を整える。野菜・汁物 → たんぱく質 → 主食。夜遅い時間の食事を減らす。
5週目以降:たんぱく質やカリウムなど、指示された項目に取り組む。ここは自己判断で始めず、必ず指示に従ってください。特にたんぱく質の制限は、減らしすぎると別の問題(栄養不足、筋肉量の低下)が起きます。
記録の取り方
記録は続けるための道具であって、目的ではありません。負担になるなら簡略化してください。
最低限これだけ:
・体重。朝、起きてすぐ、同じ条件で。1日の変動より、1週間の傾向を見る
・血圧(指示がある場合)
・食事の写真。書くより速い。受診時に見せると、指導が具体的になります
・検査値。受診のたびに記録し、並べて傾向を見る
最後の項目が最も重要です。1回の数値では良し悪しが分かりません。3回、4回と並べて初めて、やっていることが効いているかが見えます。
そして、数値が動かない時期は必ずあります。そこでやめてしまうのが最大の損失です。次の受診で相談してください。方法を変えるのは、自己判断ではなく相談してからです。
→ 外食と付き合う